感情マネジメントとは?「抑え込む」から「整える」へ変える3つのステップ
- 河原あずさと36.5編集部

- 3 日前
- 読了時間: 12分

【目次】
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職場で、感情に振り回される瞬間はありませんか。
会議中、理不尽な指摘にカッとなりそうになる。部下の態度にモヤモヤしながら、笑顔を保ち続ける。上からの方針と現場の声のはざまで、心がすり減っていく。
「感情マネジメント」という言葉には、こうした場面で「自分を抑え込む」イメージがつきまといます。けれど、本当にそれだけなのでしょうか。
この記事では、感情マネジメントの本当の意味を、「抑える」ではなく「感情を整える」という視点から整理していきます。あわせて、中間管理職のみなさんがつまずきやすい構造的な理由と、明日から試せる3つのステップについてもお伝えします。
この記事でわかること
感情マネジメントの本当の意味(「抑える」ではなく「整える」)
中間管理職が感情マネジメントでつまずく、構造的な理由
感情マネジメントを実践する 「気づく・受け止める・選び直す」 の3ステップ
チーム全体で感情マネジメントを機能させる視点
早わかり|感情マネジメントと関連概念の違い
概念 | 主な焦点 | アプローチ |
感情マネジメント | 感情との付き合い方 | 気づき、整え、活かす |
感情コントロール | 感情そのものの抑制 | 我慢する/感じないようにする |
アンガーマネジメント | 怒りの感情への対処 | 衝動を鎮めるテクニック |
EQ(感情知能)とは
本記事で繰り返し登場する EQ(Emotional Intelligence Quotient・感情知能) とは、自分や相手の感情を情報として適切に読み取り、判断や関係づくりに活かす力のことです。感情を押し殺したり、抑え込んだりする技術ではありません。Potageでは、EQを「感情とどう付き合うかを扱う力」として位置づけています。
1. 感情マネジメントとは|感情を「抑える」ことではない
感情マネジメントの定義
感情マネジメントとは、自分や周囲の感情を認識し、理解し、整え、活かす力のことです。
大事なポイントは、感情そのものをなくしたり、無理に変えたりすることではない、という点です。怒りや不安、モヤモヤは、起きないようにするものではなく、起きたときにどう扱うかが問われているスキルだと、Potageは捉えています。
Potageでは、この感情マネジメントのことを「感情を整える」と呼んでいます。
感情コントロールとの違い
よく混同されるのが、「感情コントロール」や「メンタルタフネス」といった言葉です。
コントロールという言葉には、制御する・我慢する・感じないようにする、というニュアンスが含まれます。感情の周りに防波堤のようなブロックを立て、外からの刺激が入らないように自分を鈍感にしていく方向です。
一見、これは強さのように見えるかもしれません。しかし、800名以上のEQ診断を行ってきたPotage代表・河原あずさ(EQPIアナリスト)は、こう語ります。
「機械と一緒で、何かを制御し続けていると、どこかで故障するんですね。EQの考え方はそうではなくて、『故障しない自分』をつくっていくということです」
感情を抑え込み続けると、人との距離が生まれやすくなったり、共感が伝わらず冷たい印象を持たれたり、どこかで反動が来てしまったり・・・といった不都合が起こりがちです。
感情マネジメントが目指すのは、感情の波をなくすことではないのです。感情の波はあっていいものとして、乗りこなす力を育てていく。そんなイメージではないでしょうか。
感情マネジメントの4つの要素
感情マネジメントは、次の4つの力の組み合わせで成り立っていると言われます。
要素 | 内容 |
①識別 | 今、自分や相手にどんな感情が起きているかに気づく |
②理解 | その感情がなぜ起きているのか、背景を読み解く |
③調整 | 感情に飲まれず、状況に応じて整える |
④活用 | 感情を判断や行動、関係づくりの力に変える |
一般的な解説では、この4つが横並びで紹介されることが多いかもしれません。Potageでは、これらを実際に使える順番に並び替えた「時系列の実践プロセス」として整理しています。詳しくは、後半の「3つのステップ」でお伝えしていきます。
2. なぜ今、管理職に感情マネジメントが求められているのか
板挟みの中で感情がすり減る中間管理職の現実
経営からは「もっと数字を」と言われ、現場からは「もう限界です」と言われる。自分もプレイヤーとして動かざるを得ず、感情を置いていくしかない毎日。
中間管理職のみなさんが感情マネジメントに関心を持つ背景には、こうした板挟みの現実があります。怒りも不安も戸惑いも、感じている余裕がないまま飲み込んで、次の打ち合わせへ向かう。そんな日々を送っている方は、少なくないのではないでしょうか。
「個人のスキル不足」で片付けていいのか
書籍や研修で語られる感情マネジメントは、そのほとんどが「個人のスキル」として解説されています。アンガーマネジメント、リフレーミング、言語化どれも有効な技術ではあります。
ただ、それだけで管理職のしんどさが解消するかというと、毎日を走り抜けているみなさんの実感としては、もう少し複雑なところがあるのではないでしょうか。
「感情的になる自分が悪い」「もっと上手く処理できない自分のせいだ」。こうして自責のループに入ってしまう管理職の方から、Potageでは、これまで多くのご相談を受けてきました。
組織構造が管理職の感情を苦しめている
腰が痛いとき、腕のいい整体師は腰そのものを揉まないと言います。足や下半身、首の筋肉が互いに引っ張り合って腰に負担がかかっている。そう、症状ではなく構造を語れるのがプロの仕事ではないでしょうか。
感情マネジメントも、同じ構造で捉え直すことができます。
河原あずさは、現場で見えてきたことを次のように語ります。
「今の世の中は、本当に複雑じゃないですか。予期せぬことが起きる不確実な状況の中で、敏感な方はそうしたなか、時に感情に流されて間違った判断をする。そういうループに陥りがちなんです」
組織の意思決定が複雑化し、変化のスピードも上がる中で、感情の揺れを一人で抱える管理職の負担は増える一方かもしれません。これは、個人のスキル不足の問題ではなく、組織構造の問題でもあると、Potageは考えています。
3. 感情マネジメントができないと、チームに何が起きるか
部下が本音を言わなくなる
リーダーの感情が不安定なとき、部下はまず「触れない方が安全」と判断します。相談や提案を控え、当たり障りのない報告だけを繰り返す。本音は水面下に沈んでいきます。
感情マネジメントは、リーダー個人の快適さのためだけのスキルではありません。部下の発言の安全度を左右する、チームのインフラのようなものではないでしょうか。
リーダーの感情がチームの空気に影響する
リーダーが朝、どんな顔で席に着くか。会議で苛立ちを見せるか、落ち着いているか。小さな表情の揺れが、チームの空気に少なからず影響を与えていきます。
もちろん、チームの雰囲気がリーダー一人の感情で決まるわけではありません。メンバー同士の関係性や、組織全体の構造も大きく関わっています。ただ、リーダーの感情の揺れが大きいまま放置されると、メンバーが本音を出しにくくなり、率直な意見やアイデアが場に出にくくなる傾向はあると言えそうです。
「忖度の空気」が心理的安全性を奪う
言いたいことが言えない状態が固定化すると、表面的には穏やかでも、実態は「何も言えない職場」になっていきます。これは、Potageが「偽の心理的安全性」と呼んでいる状態です。
ここまでのポイント
感情マネジメントは「抑え込む力」ではなく「整える力」である
中間管理職のしんどさは、個人のスキルではなく組織構造の問題でもある
リーダーの感情は、チーム全体の発言の安全度にも影響する
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4. 感情マネジメントを実践する3つのステップ
ここからは、感情マネジメントを日々の実践に落とし込むための、Potage独自の3ステップをご紹介します。先に挙げた4要素(識別・理解・調整・活用)を、実際に使える順番で並び替えたものです。
順番は、「気づく → 受け止める → 選び直す」。

ステップ1|気づく:感情に名前をつける
すべてはここから始まります。自分の中に今、どんな感情が起きているか。「イライラしている」「不安を感じている」「本当は悲しい」。名前をつけるだけで、感情の輪郭がはっきりしてきます。
多くの場合、感情は身体のサインとして先に現れます。肩が硬い、胸が詰まる、呼吸が浅い。こうした身体感覚に目を向けることで、気づきの精度が上がっていくのです。
言語化が苦手な方は、「少しモヤっとした」「なんか疲れた」など、ざっくりした言葉から始めて構いません。
ステップ2|受け止める:判断せずに観察する
次に大事なのは、気づいた感情を「良い・悪い」で裁かないことです。
「こんなことで怒る自分はダメだ」「不安を感じるのは弱い証拠だ」。こうした自己判断は、感情を深く埋めるだけで、解決にはつながりません。感情は、今の自分の状態を知らせるサインとして扱うのが基本だと、Potageは捉えています。
少し離れた場所から「なるほど、今、自分はこう感じているんだな」と眺める感覚。メタ認知とも呼ばれる、このワンクッションが感情マネジメントの核になります。
ステップ3|選び直す:行動を意図的に決める
気づいて、受け止めたうえで、ようやく「どう振る舞うか」を選び直す余地が生まれます。
怒りが強いときは6秒数える(アンガーマネジメントの6秒ルール)。出来事の意味づけを変える(リフレーミング)。自分の気持ちを主語にして伝える(DESC法)。使えるテクニックはいくつもあります。
河原あずさは、感情のプラスとマイナスの両方について、こう表現しています。
「マイナスの時には、マイナスに触れている時なりの振る舞いをしながら、感情を作っていく。プラスの時には、その活かし方を知る。結果的に、よりしなやかな感情の乗りこなし方が生まれていくんです」
感情を消すのではなく、その状態から最も適した一歩を選び直す。これが「整える」ということの実像ではないでしょうか。
5. 管理職が日常で取り入れられる感情マネジメントの習慣
感情を言葉にする習慣をつくる
日記やメモ、1on1での自己開示など、感情を言語化する時間を日常に組み込んでいくと、ステップ1「気づく」の解像度が上がります。1行でも構いません。毎日続けることに意味があります。
アンガーマネジメントの「6秒ルール」
怒りの感情は、ピークから6秒ほどで少し落ち着くと言われています。カッとした瞬間にその場で判断せず、6つ数える。ごく単純ですが、言葉を荒らげる前の「間」を確保する習慣として有効です。
身体感覚で感情をキャッチする
感情に気づくのが苦手な方は、頭で考えるより、身体に聞く方が早い場合があります。肩・胸・呼吸・表情。1日3回、身体の状態をスキャンしてみる。それだけでも感情の輪郭が浮かんでくるのです。
信頼できる相手と対話する
感情は、一人で抱えるより、誰かに話すことで整っていくものです。パートナー、同僚、メンター、コーチ。信頼できる相手との定期的な対話の場を持てるかどうかが、長期的な感情マネジメントに大きく影響するのではないでしょうか。
6. チームで実践する感情マネジメント|個人スキルで閉じない
感情マネジメントを、リーダー一人の負担にしてしまうと、どこかで限界が来ます。大事なのは、チーム全体で共有する視点を持つことだと、Potageは考えています。
感情の扱い方を「チームの共通言語」にする
メンバー同士が、感情について話してもいい。「今日はちょっとモヤっとしています」と言える。こうした共通の語彙がチームに育つと、互いの状態が見えやすくなり、連携の質が変わっていきます。
関連記事:[心理的安全性を育むマネジメント&チームビルディング3つの原則](#)
EQ(感情知能)は「自分を活かす力」
冒頭でふれたEQ(感情知能)について、河原あずさは次のように語っています。
「EQというのは、『自分を活かす力』なんです。寄り添い傾向の強い日本のビジネスパーソンは、調和を取るのは得意なんだけれど、利害のズレを調整するのが苦手。でも、相手の感情と自分の感情を読んだ上で、こういう言い方なら角が立たない、こう伝えれば伝わる——そういう自分なりの伝え方をマスターすると、感情と感情の間に橋をかけられるようになるんです」
感情マネジメントは「自分を抑える技術」ではなく、「自分と相手を活かす技術」として捉え直すと、見える景色が変わってくるかもしれません。
EQPI診断で自分とチームの現在地を知る
自分の感情の「クセ」は、自分では意外と見えにくいものです。寄り添い傾向が強いのか、感情にブロックをかけがちなのか、感情認知の強弱はどうか。こうした特性は、EQPI診断で客観的に捉えることができます。
Potageでは、64タイプの性格分類を取り入れた新しいレポートをご提供しています。自分自身と、チームの現在地を整理したい方は、ぜひ一度試してみてください。
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7. まとめ|感情マネジメントは「管理する」より「整える」もの
感情マネジメントとは、感情を抑え込む技術ではなく、気づき・受け止め・選び直す力のことです。
- 感情の波はあっていい
- 自分のクセを知り、チームの共通言語にしていく
- 個人のスキルで閉じず、組織構造とセットで捉える
ここまでお読みくださったみなさんは、すでに最初の「気づく」を一緒に踏み出しています。ここから先は、日常の中で少しずつ「整える」を重ねながら、チームの空気をゆっくり変えていく。そんな歩み方が、一番自然なのかもしれません。
Potageは、そのプロセスに、伴走していきたいと考えています。
こうしたテーマについて、Potage代表・河原あずさが日経COMEMOで詳しく語っています






