「偽の心理的安全性」とは?忖度がチームビルディングを止める本当の理由
- 河原あずさと36.5編集部

- 3月4日
- 読了時間: 4分

目次
「うちのチームは何でも言い合える」……そう感じているチームほど、実は忖度に支配された"偽の心理的安全性"に陥っているかもしれません。
声の大きい人への同調が無意識に起きている組織では、本音の対話が封じられ、チームビルディングが停滞してしまいます。こうした状態を抜け出す鍵になるのが、管理職の振る舞いとEQ(感情知能)を軸にした小さな対話の積み重ねです。
心理的安全性とは何か
心理的安全性という言葉を、ここ数年で耳にする機会がずいぶん増えました。ハーバード大学のエイミー・エドモンドソン教授が提唱した概念で、「このチームで発言しても、自分が否定されたり罰せられたりしないと信じられる状態」のことを指します。
よく誤解されるのですが、心理的安全性とは「仲が良いこと」ではありません。 異論や違和感を、安心して口にできること。それが本来の意味です。チームビルディングの文脈でも、この心理的安全性は土台になります。
偽の心理的安全性とは?
EQをベースにしたチームビルディングや組織開発の研修の場で、こんなやり取りがよく見られます。
「皆さんのチームには心理的安全性がありますか?」
そう問いかけると、多くの方が「うちはあると思います」と答えます。ところが、研修を依頼した人事や経営層からは、事前にこんな声が出ていることが少なくありません。
「うちは本音で対話できていなくて……」
現場とマネジメント層で、認識がまるで違う……こうした不思議な現象は、実は多くの組織で繰り返し起きています。本記事ではこの状態を「偽の心理的安全性」と呼びます。
忖度が生まれるメカニズム
研修の場では、こんなやり取りが起きることがあります。
誰かが「うちは心理的安全性が高いですよ」と言う。すると、周囲がすっと同調する。しかし、ここで立ち止まって考えてみる必要があります。本当にそうだろうか、と。
声の大きい人に対して、「実は私は少し違う意見です」と言えるでしょうか。場の空気を壊すかもしれない、関係性がぎくしゃくするかもしれない……そう思うと、本音は引っ込められてしまうこともよくあります。
それは安心ではなく、忖度です。表面的には穏やかかもしれません。しかし、チームビルディングの観点では、挑戦や対話が止まり始めているサインともいえます。
偽の心理的安全性を見抜く3つのサイン
では、管理職として何を見ればよいのでしょうか。多くの現場で共通して見られるサインには、次のようなものがあります。
1. 会議で反対意見がほとんど出ない
議論がスムーズすぎるときほど、注意が必要です。
2. 決定後に裏で不満が出る
会議では全員賛成。しかし後から本音が漏れる。この構造は危険信号です。
3. 発言する人が固定化している
若手や静かなメンバーがほとんど話していない場合、心理的安全性は限定的かもしれません。
管理職ができる改善アクション
偽物を本物に変える鍵は、制度よりも振る舞いにあります。まずは、管理職自身が「異論を歓迎する姿勢」を示すことがポイントです。「他に意見はない?」ではなく、 「違う見方があれば、ぜひ聞きたい」と具体的に伝えてみましょう。そして、全体の場で出ない声を、1on1などで丁寧に拾うのです。
さらに重要なのが、EQの視点です。自分の中に生まれた小さな違和感に気づくこと、それがとてもたいせつです。 「今、少しモヤっとしたな」と感じられるかどうか……。
本当の心理的安全性は、「本音を言おう」と号令をかけて生まれるものではありません。 小さな自己開示の積み重ねの中で、少しずつ育まれていきます。
あなたのチームの心理的安全性は「本物」ですか?
心理的安全性という言葉が広がること自体は、とても良いことです。けれど、言葉だけが先行して、「うちは大丈夫」と思い込んでしまうことほど、怖いことはありません。
あなたのチームでは、メンバーが本音で語り合えていますか。 誰かの一声に、無意識に空気を合わせてしまっていないでしょうか。
もし、ほんの少しでも心当たりがあるなら…それは「偽の心理的安全性」に向き合う、最初のサインなのかもしれません。
EQを軸にした信頼関係構築とチームビルディングのプロジェクトを実施した、関電不動産様の事例はこちらからお読みいただけます。



