中間管理職が年上の部下とうまくいかない理由と対処法。「可愛がられる力」とは
- 河原あずさと36.5編集部

- 7月10日
- 読了時間: 7分

【この記事のまとめ】
年上の部下が本音を話さない原因は、若手管理職側の「優秀さを示さなければ」という鎧にあります。解決の鍵は、相手への敬意と自分の弱みの開示をセットにした「可愛がられる力」。指摘は背景を丁寧に共有したうえでストレートに伝え、チームでは互いの「こだわり」を可視化することで、心理的安全性の土台ができます。
抜擢人事が広がり、30代で部長や課長になる人が増えています。その結果、中間管理職が40代・50代の年上の部下をマネジメントする場面は、もはや珍しくありません。
「年上のメンバーがやりづらそうにしていて、本音を話してくれない」「若いと軽く見られているのではないかと不安になる」。こうした悩みは、多くの中間管理職に共通するものです。
本記事では、ポッドキャスト「シンクリ!心理的安全性あふれるチームづくり相談所」に寄せられた、製造業・30代部長さまからの相談をもとに、心理的安全性の専門家・金亨哲氏(きむ・ひょんちょる/株式会社ZENTech)と、EQ(感情知性)の専門家・河原あずさ(Potage株式会社)が語った「年上の部下との関係づくり」のポイントを解説します。
【目次】
なぜ年上の部下との関係はこじれるのか。「鎧」の構造
若くして管理職になる人は、もともと優秀な人がほとんどです。ところがその優秀さが、かえって壁になることがあります。
ZENTech金亨哲氏の見解によれば、「優秀さを上にも下にも見せ続けなければならない」という意識が働き、弱みを見せない自己防衛の"鎧"をまとってしまうのです。リーダーが鎧を着ていると、年上の部下も構えてしまい、本音を出しにくくなります。「若いと思われたくない」という管理職側の不安が、率直な対話を妨げる。これが典型的なこじれの構造です。
こうした対人関係の緊張は、中間管理職のストレスの主要因のひとつでもあります。上司と部下の板挟みに悩んでいる方は、管理職のストレスが限界を迎える前に知っておきたいことについての記事もあわせてご覧ください。
解決の鍵は「可愛がられる力」。リスペクト×自己開示
放送の中で金氏が示した処方箋は、意外にもシンプルでした。優秀さで戦うのをやめ、「可愛がられる力」を発揮することです。金氏自身も30代で年上のクライアントと向き合う立場にあり、実践から得た方法として、2つの要素をセットにすることを挙げています。
1. リスペクトを土台にする 相手の経験やキャリアへの敬意を、態度と言葉で明確に示す。
2. 自分から悩みを開示する 「若く見られがちで悩んでいる」といった本音を、あえてそのまま伝える。そのうえで「この部分を頼りにしています」と、頼りたい領域を具体的に伝える。
年下から頼られて嫌な気持ちになる人は多くありません。敬意と自己開示がセットになったとき、年上の部下との距離は縮まり始めます。
これは、自分や相手の感情を理解して扱うEQ(感情知能)を土台にした、共感型リーダーシップのアプローチでもあります(河原あずさ)。優秀さで信頼を勝ち取るのではなく、感情のやり取りで信頼を育てる。この転換が本質です。
自己開示は「武勇伝」より「茶目っ気」
自己開示といっても、実績や武勇伝を語るのは逆効果です。金氏によれば、効果的なのは、少し人間味があり、笑える要素のある「茶目っ気」のあるエピソードです。
失敗談や、思わずクスッとするような話を日頃から共有しておくと、心理的距離が縮まり、いざというときに本音の対話がしやすくなります。
ネガティブな指摘は「準備は丁寧に、伝え方はストレートに」
年上の部下に改善点を伝える場面は、中間管理職にとって最も気が重い仕事のひとつです。放送では、金氏から次の原則が示されました。
事前準備は通常の何倍も丁寧に行う。どう伝えるかのシミュレーションや資料準備に時間をかける
伝えるべきことは、あいまいにせずストレートに伝える。ただしその前に、背景にある思いや事実を丁寧に共有する
敬意を保ちながら、指摘はぼかさない。この両立が信頼につながります。
この「背景を共有してから、まっすぐ伝える」姿勢は、1on1やフィードバック全般に応用できます。評価や指示を一方的に下ろすのではなく、相手の感情や背景に耳を傾け、問いを通じて一緒に解決策を探る。河原あずさはこれを、管理としてのマネジメントから「対話型マネジメント」への転換と位置づけています。年上の部下から本音を引き出す土壌は、この関わり方から生まれます。
なお、こうした対話の場として1on1を機能させたい方は、1on1の目的とは何かで形骸化を防ぐポイントを解説しています。
チームの土台をつくる「こだわりポイント」の共有
個人のコミュニケーション技術に加えて、チーム単位でできる施策も紹介されました。金氏が新しいチームの立ち上げ時に実践した、メンバー全員が「仕事でここだけは譲れない」というこだわりを話し合い、可視化するワークショップです。
チーム内の軋轢の多くは、互いのこだわりの違いを知らないまま"地雷"を踏み合うことから生まれます。こだわりを事前に共有し、相手の譲れない領域にリスペクトを払うと決めるだけで、チームの動きやすさは大きく変わります。譲れない部分がわかれば、それ以外の部分では譲り合える。この転換が、鎧を脱ぐための土台になります。
うまくマネジメントできている人ほど、相手を人としてリスペクトし、相手に花を持たせ、強みが活きる場面で力を発揮してもらっています。一人ひとりの「個」の良い側面を組み合わせたとき、チームに相乗効果が生まれる。これは、Potageが組織文化づくりで大切にしている考え方でもあります。
まとめ:中間管理職に必要なのは戦闘能力より茶目っ気
若手管理職ほど「優秀さの鎧」を張りやすく、それが年上の部下との壁になる
リスペクトと自己開示をセットにした「可愛がられる力」が関係構築の鍵
自己開示は武勇伝ではなく茶目っ気のあるエピソードで
ネガティブな指摘は、準備を丁寧に、伝え方はストレートに
チームでは「こだわりポイント」を共有し、心理的安全性の土台をつくる
よくある質問(Q&A)
Q1. 年上の部下が本音を話してくれないのはなぜですか?
A. 原因は管理職側の「方向性を示し続けなければ」という考え方にあることも、多くあります。リーダーが弱みを見せない鎧をまとうと、年上の部下も構えてしまい、率直な対話が生まれにくくなります。
Q2. 年上の部下との信頼関係はどう築けばよいですか? A. 相手の経験への敬意を明確に示したうえで、自分の悩みや弱みを開示し、「この部分を頼りにしている」と具体的に伝えることです。敬意と自己開示をセットにすることが鍵です。
Q3. 年上の部下に改善点を指摘するときの注意点は? A. 事前準備を丁寧に行い、背景にある事実や思いを共有したうえで、指摘そのものはあいまいにせずストレートに伝えることです。準備の丁寧さと伝え方の率直さは両立できます。
▶ この記事のもとになった対話は、ポッドキャストでお聴きいただけます。 年上の部下とどう付き合えば…!?若手リーダーに必要な"可愛がられる力"
※「シンクリ!心理的安全性あふれるチームづくり相談所」は、株式会社ZENTech 金亨哲氏とPotage株式会社 河原あずさがお届けする番組です。心理的安全性に関する知見は株式会社ZENTechのサイトもあわせてご覧ください。
Potageでは、EQを軸にしたチームづくり支援(研修・ワークショップ)を提供しています。チームの対話や相互理解を深める取り組みを検討したい方は、お気軽にご相談ください。




