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「管理職のストレスが限界…」と感じたら|本人と組織で見直す7つの視点

更新日:2 日前

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「管理職のストレスが限界…」と感じたら|本人と組織で見直す7つの視点

【目次】




 「もう限界かもしれない」と管理職本人が感じている。あるいは「うちの管理職が潰れてしまうのではないか」と人事・経営者が心配している──このキーワードに辿り着くのは、その両方の方ではないでしょうか。


 この記事では、管理職をストレスの限界まで追い詰める原因を整理し、本人と組織それぞれの視点で対処の選択肢をまとめます。「個人の弱さ」ではなく「役割の構造」として見直すヒントをお届けします。


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「管理職のストレスが限界」とは?──定義と背景


 「管理職のストレスが限界」という状態は、次のように整理できます。


  •  業務量・責任・人間関係のストレスが継続的かつ複合的にかかっている状態

  • 本人の自覚より先に、身体や周囲との関係に変化が表れていることがある

  • 「個人のスキル不足」ではなく「中間管理職という役割の構造」から生じている問題

  • 放置すると休職・離職・チームの機能不全へ進行するリスクが高い


 つまり、「管理職のストレスが限界」は、本人の弱さや努力不足の話ではありません。みなさんが見ているのは、いまの日本企業の中間管理職を取り巻く構造的な現象なのです。



3つのアプローチの違い|セルフケア・研修・構造の見直し


 管理職のストレスへの打ち手は、大きく3つに分かれます。それぞれの違いを整理しました。

 アプローチ

主な手段

効きどころ

限界

① 個人のセルフケア

瞑想・運動・睡眠・休暇取得

 一時的な回復

 業務構造が変わらないと再発する

② 管理職研修の強化

 レジリエンス研修・1on1研修

スキル・知識の底上げ

個人の負荷の総量は変わらない

③ 構造の見直し

 役割設計・心理的安全性・EQ可視化

限界が生まれる手前で「整える」

 短期で成果は出にくい



 Potageが大切にしているのは、③の「構造の見直し」の視点です。①と②を否定するものではありません。ただ、症状の手前にある構造に目を向けないと、何度同じ研修をしても、限界は繰り返し戻ってきてしまうのではないでしょうか。



管理職のストレスが「限界」に近づくとき、何が起きているか


 「管理職のストレスが限界」というキーワードで検索する人には、大きく二つの立場があります。一つは、当事者である管理職本人。「もう続けられないかもしれない」と感じ、答えを探している方です。もう一つは、人事・経営者・チームメンバーの立場で、「あの管理職が潰れてしまわないか」と心配している方です。


 この記事は、その両方の方を意識して書いています。なぜなら、管理職のストレスが限界に近づくときに起きていることは、本人だけの問題ではなく、本人と組織の関係性のなかで生じている問題だからです。



自覚があるとは限らない


 管理職に昇進する方の多くは、もともと責任感が強く、自分のしんどさを後回しにする傾向があります。だからこそ「自分はまだ大丈夫」と思っているうちに、知らないあいだに限界を超えてしまう。ある日突然、出社できなくなる、というケースが珍しくありません。



限界のサインは、まず周囲に表れることがある


 本人より先にサインを察知するのは、たいてい周囲の人たちです。「いつもの返信が遅い」「会議での表情がいつもと違う」「ランチの誘いを丁寧に断り続けている」──そうした微細な変化が、本人の自覚より先に外に出てきます。


 つまり、「限界かもしれない」という問いは、本人と周囲の両方が同時に持っておくとよいものなのです。



管理職をストレスの限界まで追い詰める5つの原因


 ここからは原因を整理します。ただし、注意していただきたいのは、これから挙げる5つは「管理職個人のスキル不足」ではなく、中間管理職という役割そのものの構造から生まれるものだということです。


 Potage代表の河原あずさは、よく整体師の比喩を用います。腕のいい整体師は、腰が痛い人の腰だけを揉まない。足や下半身、首の筋肉が引っ張り合っているから腰が痛い、と説明できます。同じように、管理職のストレスも「症状」だけを見ても解決には届きません。症状の手前にある構造に目を向ける必要があるのです。



① 業務量と責任が同時に膨らみ続ける(プレイングマネージャー問題)


 日本企業の多くで、管理職はプレイヤー業務を抱えたまま昇格します。いわゆる「プレイングマネージャー問題」です。


 自分の業務はそのままに、部下の面倒見と、チームの数字の責任が乗ってくる。「忙しい」のではなく、「忙しさの種類が二重三重になる」のが管理職の実態だと言えるでしょう。



② 上層部と現場の板挟み


 経営からは高い成果を求められ、方針転換があれば即対応を迫られます。一方で、部下にはその意図を翻訳して伝え、納得感のある形で動いてもらわなければなりません。両方向に説明責任が発生するのが中間管理職という立ち位置です。



③ 部下の働き方改革によるしわ寄せ


 部下の残業時間に上限が設けられ、有給取得の推進が進むなかで、削減された業務分はしばしば管理職に戻ってきます。「自分が抱えればいい」という選択が、限界を遠ざけているように見えて、実は近づけているのです。



④ 部下マネジメントの「答えのなさ」


 業務の問題には答えがあります。しかし、人の感情や関係性の問題には、明確な答えがありません。「1on1をやれ」「寄り添え」と言われても、忙しさのなかで身が入らない。結果、部下からは「ちゃんと見てもらえていない」と感じられ、信頼が積み上がっていかない──この徒労感が管理職を消耗させます。



⑤ 弱音を吐ける場所がない孤立構造


 管理職になった瞬間、同じ目線で愚痴を言える相手がいなくなります。上には弱音を吐けず、下にも吐けない。同僚の管理職同士も、互いに忙しさを察し合って遠慮する。「しんどい」という言葉が組織のどこにも置けない状態が、限界を加速させてしまうのです。



「もう限界」のサインを読み取るチェックリスト


 ここからは、限界のサインを「本人視点」と「周囲視点」の二つに分けて整理します。



本人が気づくサイン|2つのパターン


 管理職本人に表れるサインは、大きく二つのパターンに分かれます。


 一つ目は、過剰に動いてしまうパターンです。もともとストレスに繊細なタイプの方に多く見られます。本来は直視したくない疲労や不安があるとき、別の行動でそれをごまかそうとします。新しい案件に手を挙げる、副業を始める、夜のスケジュールを詰める──一見アクティブですが、本質的な負荷は解消されておらず、ある日パタッと燃え尽きるリスクがあります。


 二つ目は、感情を麻痺させていくパターンです。ストレス耐性が比較的強いタイプに多く見られます。EQの観点では「平静」という因子が過剰に働いている状態で、感情の入り口にブロックを敷くことで、痛みを感じないようにしています。一見、落ち着いて見えるのですが、生身の人間である以上、疲労は確実に蓄積していきます。


 このパターンでは、以下のような変化が表に出てくることがあります。


  • 急に蕁麻疹が出る、頭痛・腹痛が増えるなどの身体的変調

  • 休日に一日中寝ていないと回復しない

  • 親しかった人との距離が増し、自分から遠ざかってしまう

  • 表情に感情が出にくくなる、本音が見えにくいと言われる


 いずれも、自分でも理由をうまく説明できない違和感として現れます。



周囲(人事・上司・同僚)が気づくサイン


 周囲は、本人が言葉にする前のサインを拾える立場にあります。


  • 返信のテンポやトーンが「いつもと違う」

  • 会議での発言数・表情・姿勢の微細な変化

  • 雑談やランチへの参加が減る、誘いを丁寧に断り続ける

  • 数字の説明が淡白になる、感情の起伏が見えなくなる


 「いつもと違う」「普通と違う」を見逃さないこと。これは個人のスキルというより、組織の観察力の問題なのです。


ここまでのポイント

  • 管理職のストレスは「個人の弱さ」ではなく「役割の構造」から生まれている

  • 限界には2つのパターン(過動/麻痺)があり、本人より周囲が先に気づくことが多い

  • 「いつもと違う」を拾える組織と拾えない組織がある



管理職本人ができる、限界を超える前の3つの対処


 ここからは、管理職本人へのメッセージです。「もう限界かもしれない」と感じているなら、辞める・逃げるを決断する前に、試していただきたいことがあります。


管理職本人ができる、限界を超える前の3つの対処

① 自分の感情を「観る」──EQの出発点


 EQ(感情知能)とは、感情を押し殺す技術ではありません。感情を情報として読み取る力のことです。


 怒り、不安、徒労感を抑え込むのではなく、「いま、自分はこういう感情を持っているな」と気づくこと。それだけで、感情に巻き込まれる時間が短くなります。しんどさを言葉にできるようになると、対処の選択肢も見えてきます。


 逆に、感情を麻痺させてしまうと、「何がしんどいのかも分からない」状態に入り、回復の入り口を見失ってしまうのです。



② 「手放す」という第四の選択肢を持つ


 限界を感じたとき、人は「戦う」「逃げる」「話す」のどれかを選ぼうとします。RPGで言えば、戦闘画面のコマンドのようなものです。これに加えて、Potageが大切にしているのが「手放す」という第四の選択肢です。


 手放すとは、自分が抱えている行動を棚卸しし、「自分にとって本当に必要ではないもの」を周りに渡していくことです。特に管理職の場合、プレイング業務を意識的にチームメンバーに渡していくことが鍵になります。


 全部を渡さなくてもかまいません。定例ミーティングを一つ抜ける、抱えていたプロジェクトを一段下に移すだけで、隙間が生まれます。その隙間こそが、気持ちの余裕につながり、ようやくチームと向き合う土台が「整う」のです。



③ 弱みを出すことを自分に許可する(バルネラビリティ)


 バルネラビリティ(脆弱性)という考え方があります。「困っている」「助けてほしい」と口に出せるかどうか、というシンプルな問いです。


 管理職になると、弱みを見せてはいけないと自分に縛りをかけがちです。しかし、完璧な管理職などいません。「いま自分はここに困っている」と表明することは、責任放棄ではなく、チームとしてのパフォーマンスを上げる第一歩なのです。


 管理職が弱みを出せると、部下もまた、自分の弱みを出せるようになります。



人事・経営者が手を入れるべき、組織構造の3つの見直し


 ここからは、人事・経営者の立場の方へのメッセージです。管理職のストレスを「個人の問題」として研修で対処しようとしても、限界があります。手を入れるとよいのは、もう一段奥の構造です。



① 「研修」より先に「役割設計」を見直す


 管理職向けのレジリエンス研修やストレスマネジメント研修は、もちろん無駄ではありません。ただし、それだけで解決する問題ではない、というのが現場の実感です。


 日本企業では、待遇を上げる方法が「管理職に昇格させること」しかない、という構造的なエラーが残っています。プレイヤーとして優秀な方が、プレイング業務を抱えたまま管理職になり、そこに人の面倒と数字の責任が乗る。この役割設計自体を見直さなければ、研修は対症療法にしかなりません。


 「いまの管理職に乗っている業務量・権限・期待値は、本当に一人で背負えるサイズになっているか」を、まず問うことから始めるのが大切ではないでしょうか。


② 心理的安全性のあるチームをつくる土台を整える


 心理的安全性は、研修やワークショップで一度に「インストール」できるものではありません。日々の関係性のなかで、少しずつ醸成される土壌だと考えています。


 ここで見落とされやすいのが、心理的安全性は部下のためだけにあるのではなく、管理職自身のためにもあるということです。管理職が「しんどい」を口にできない組織で、部下に「本音を言ってほしい」と言うのは、矛盾しているのではないでしょうか。土壌は、管理職から先に整えていく必要があります。


③ EQと「得意」の可視化で、チームの役割を組み替える


 心理的安全性を構造として支えるには、メンバー一人ひとりの感情の傾向を可視化することが有効です。


 Potageが提供している「EQPI」(感情知能を測定するアセスメント)を使うと、感情の使い方の癖、苦手なコミュニケーションのパターンが見えてきます。


 感情の癖は、そのまま「人と関わるときの得意・不得意」につながります。共感は強いが踏み込むのが苦手な人、決断は速いが他人の感情の機微を拾いにくい人──そうしたパターンが可視化されると、いまその方に振っている役割が、得意の方向と合っているかが見えてくるのです。


 合っていなければ、調整し、合っている部分はしっかり評価する。これを繰り返すと、チーム全体が「得意なことに尖っていく」組織へと変わっていきます。



EQと心理的安全性の視点|「ストレス対処」ではなく「構造の見直し」へ


 ここまでの内容を、Potage代表・河原あずさの言葉で改めて整理します。


  仮にマネージャーが「もう限界です」と手を挙げたとき、それは「あなたが我慢すればいい」という問題でしょうか。プレイング業務を残されたまま、人を見ろと言われ、数字の責任を背負っている。管理職向けの研修も大事かもしれないけれど、それだけで解決する問題ではない、と私は思っています。


  腕のいい整体師は、腰が痛い人の腰を揉まない。足や下半身、首の筋肉が引っ張り合っているから腰が痛い、と説明します。中間管理職のしんどさも同じで、「症状ではなく構造」を見ないと、本当の解決にはたどり着かないのではないでしょうか。


症状ではなく構造を見る


 管理職本人へのケアと、組織構造の見直しは、両輪です。片方だけでは持続しません。「管理職を鍛える」のではなく、「役割の構造を整える」。この言葉の置き換えが、Potageのスタンスを最もよく表していると考えています。


EQが個人と組織をつなぐ鍵になる


 EQとは、自分や周囲の感情を「情報」として読み取る力です。自分のなかに「いま、限界が近いかもしれない」というサインが立ち上がったとき、それを見逃さずに受け取れる──そういう感度のことだと考えています。


 管理職本人がこの感度を持っていれば、限界が「限界」になりきる前に、立ち止まることができます。そして、チームに心理的安全性があれば、「しんどい」と声に出すハードルが下がり、SOSが早く出せる関係になっていきます。


 個人と組織の両面に効くのが、EQと心理的安全性のアプローチなのです。


まずは「いま」を可視化する一歩


 次の一歩は、難しいものではありません。自分自身、あるいはチームの「いま」の状態を、客観的に見える形にすること。EQPI診断を一人で受けてみる、チームで受けてみる、というのは、その入り口の一つだと言ってよいでしょう。



まとめ|管理職のストレスが限界に達する前に、構造に目を向ける


 管理職のストレスは、本人だけの問題ではありません。本人と組織の関係性、そして役割そのものの設計が、いまの状態を生んでいます。


 管理職本人の方へ。「もう限界」と感じたとき、戦う・逃げる・話すに加えて、「手放す」という選択肢があることを思い出していただきたいのです。自分の感情を観る、抱えているものを棚卸しする、弱みを表明する。その三つが、限界の手前で立ち止まる力になります。


 人事・経営者の方へ。研修で個人を鍛えるだけでなく、同時に役割設計と心理的安全性の土壌を見直してみてください。管理職が「しんどい」と言える組織は、部下も本音を出せる組織です。土壌は、管理職から先に「整える」必要があるのではないでしょうか。



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