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心理的安全性とぬるま湯の違いとは?チームが変わる対話術

心理的安全性とぬるま湯の違いとは?チームが変わる対話術

目次



 マネジメントや組織づくりに関する現場の声を聞いていると、繰り返し出てくる問いがあります。それは「心理的安全性を大事にすると、組織がぬるま湯になりませんか?」というものです。


 先日、ある40代の経営者の方からこんなお話をいただきました。「私はスタッフを強く信頼しています。ただ、仕事上で褒めることはほとんどありません。上司や組織からの承認を求める意識が主体になると、日々の意識が内向きになる気がするんです」と。心理的安全性を高めることが、結果的にメンバーの意識を内側に閉じさせてしまうのではないか。そんな懸念をお持ちだったのです。


 実はこの疑問、多くの管理職やリーダーの方が感じているのではないでしょうか。今回は「心理的安全性」と「ぬるま湯」の違いを掘り下げながら、チームを前に進める対話の技術についてお伝えします。



心理的安全性は「仲良しクラブ」ではない


 心理的安全性という言葉を聞くと、「みんな仲良し」「和気あいあい」といったイメージを持たれる方が少なくないかもしれません。しかし、心理的安全性の本来の定義は、チームの中で自分の本音をオープンに言い合える関係性が築けているかどうか、ということです。


 つまり、相手にとってプラスなことだけでなく、改善が必要なことについてもしっかりと伝えられる関係性ができあがっている状態を指します。その背景にあるのは、人格を否定されないという安心感です。「あなた自身のことは尊重している。あなたの考え方も大切にしている。ただ、チームとしてはこちらの方向を向いていきたい」――そう率直に言い合えるのが、心理的安全性の高い組織なのです。


 心理的安全性という概念が広まった背景には、Googleのリサーチが有名ですが、そこにはストレートにモノを言い合える組織を目指すアメリカのスタートアップ文化の影響も見え隠れしています。決して「優しいだけの場」をつくることが、心理的安全性のゴールではないのです。


 ここで気をつけたいのは、心理的安全性の高い組織は、お互いの承認欲求を満たすための場ではないということです。


 何に対しても「いいね、いいね」と肯定する。相手との関係性を傷つけたくないから、本当は違うと思っていても口をつぐむ。これは忖度であり、むしろ心理的安全性が低い状態の表れではないでしょうか。言いたいことを言えず、周りの顔色をうかがっている。これこそがぬるま湯の正体なのです。


 つまり、心理的安全性とぬるま湯は正反対のもの。ぬるま湯は「本音を言わない関係」、心理的安全性は「本音を言い合える関係」。この違いを明確にしておくことが、チームづくりの出発点になります。



ぬるま湯にしないフィードバックの技術「Good・Uniqueness・More」


 では、心理的安全性を保ちながら、率直なフィードバックをするにはどうすればいいのでしょうか。Potageが実践しているのが「Good・Uniqueness・More」というフレームワークです。


ぬるま湯にしないフィードバックの技術「Good・Uniqueness・More」

 最初のGoodは、まず相手のいいところを伝えること。「ここがすごくいいと思います」「ありがとうございます」と、ポジティブなフィードバックから入ります。


 次のUniquenessは、相手の個性を認める言葉を伝えること。「これは〇〇さんらしい考え方ですね」「〇〇さんの経験が生きていますね」と、その人だからこその価値を言葉にします。ここで大切なのは、一旦相手のことを受け入れるということ。「あなた自身のことは否定していない。あなたの考え方は尊重している」というメッセージを、まず届けるのです。


 そしてMoreは、さらに良くするための問いかけです。「チームとしてはこの方向を目指しているので、もっと良くしていくには、どうしていったらいいと思いますか?」と、相手と一緒に考えるプロセスをつくります。


 ポイントは、上から指示するのではなく「問いかける」こと。相手の考えを引き出しながら、チームの方向性とのすり合わせを一緒に行っていく。このプロセスそのものが、心理的安全性を高めていくのです。


 「まず褒める」ことから入るという話はシンクリでもしています。よろしければこちらの記事も参考にしてみてください。



チームの意識を「外」に向ける指針を立てる


 心理的安全性がぬるま湯にならないために、もうひとつ大切なことがあります。それは、チームの意識を「外」に向ける指針を明確にすることです。


 お客さんに向き合う。社会に役立つ組織であり続ける。そうしたチームとしてのゴールを、経営者やリーダーがきちんと言葉にして伝えることで、メンバーの意識は「周囲からの承認」ではなく「社会やお客さんへの価値提供」へと自然に向かっていきます


 外向きの指針があるからこそ、フィードバックにも軸が生まれます。「チームとして目指している方向はこちらだから」という共通のゴールがあればこそ、率直な対話が建設的なものになるのです。



心理的安全性は「厳しさ」と両立する


 「心理的安全性を大切にすると、チームがぬるま湯になるのでは」という問いに対する答えは、むしろ逆かもしれません。本当に心理的安全性が高い組織は、お互いに厳しいことも言い合える。そしてそれが言えるのは、「何を言っても、この関係性は壊れない」という信頼が土台にあるからです。


 もちろん、Good・Uniqueness・Moreのフレームも、一朝一夕で身につくものではなく、日々の実践と振り返りの中で少しずつ磨かれていくものです。


 心理的安全性とは、居心地のいいぬるま湯をつくることではなく、お互いの成長のために本音を伝え合える土壌を耕すこと。その土壌があってはじめて、チームは外に向かって力強く動き出すのかもしれません。


 あなたのチームでは、本音を伝え合える関係性が育っていますか?



 
 
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