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AI時代のリーダーが「休めない」本当の理由とは?EQで読み解く心理的安全性と代替行動の作り方 

AI時代のリーダーが「休めない」本当の理由とは?EQで読み解く心理的安全性と代替行動の作り方

【目次】



 Potage株式会社代表取締役、コミュニティ・アクセラレーターの河原あずさです。「個」の可能性を引き出し、混ぜ合わせることで新しい価値を生み出す。そんな思いで日々、コミュニティづくりや組織文化の変革に伴走しています。


 心理的安全性の専門家である株式会社ZENTechの金亨哲(きむ・ひょんちょる)さんと、ナビゲーターのきのせまりさんと一緒に音声配信番組「シンクリ!心理的安全性あふれるチームづくり相談所」をお届けしています。今回は第6回放送の内容を、記事としてお届けします。


006ai時代のリーダーが「休めない」本当の理由とは?eqで読み解く心理的安全性と代替行動の作り方  ゴールデンウィーク明けの収録となった今回は、いつもと趣向を変えて、所長であるひょんちょるさんから副所長の私にお悩み相談を投げかけてもらう回となりました。テーマはずばり「休み下手なリーダーは、どうしたら休めるのか」。中間管理職やプレイングマネージャー、そしてチームを率いるすべての方にとって、他人事ではないテーマだと感じます。



AI時代になぜリーダーは「休めない」のか


 ひょんちょるさんからの相談はこんな内容でした。


 「連休があっても、休むのがめちゃくちゃ下手くそなんです。AIが出てきてから、なおさら休みにくくなった感覚があって。EQの観点から、どう休むといいのかを聞いてみたい」


 心当たりがありすぎて、思わず深くうなずいてしまいました。AIは本来、人を楽にするために進化しているはずなのに、使えば使うほど仕事が増えていく感覚。これはひょんちょるさんも同じだと言います。「アウトプットは速くなったけれど、処理する情報量はどんどん増えていて、楽になった感じがしない。空いた時間を全部また、AIに費やしてしまっている・・」。


 隙間時間ができたら、とりあえずプロンプトを投げて裏で回しておく。ご飯を食べる前にもAIを動かしておかないと、なんだか損した気持ちになる。気がつけば、AIを動かす隙間で自分が仕事をしているような、本末転倒な状態です。プレイングマネージャーとして現場と管理の両方を抱えるリーダーの皆さんも、このような罠にハマっているかもしれません。


 ひょんちょるさんから出てきたもう一つの疲労ポイントが、部下が出してくるアウトプットの質の問題です。「いかにもAIで作りました」というものが増え、勘所のずれた成果物にツッコミを入れる役を、上司が一手に引き受けることになる


 もちろん中身がしっかりしていれば問題はありません。けれど、一度もやったことのない仕事をAIに丸投げしてしまうと、絶対に成立しない箇所が紛れ込みます。その違和感の発見と修正を、中間管理職が担う構造になっている職場は少なくないのかもしれません。AIで効率化したはずの時間が、別のところで燃え尽きの種になっている。これは、今向き合うべきテーマだと感じます。



EQから読み解く「休み下手リーダー」の正体


 EQ(感情知能)の観点で見ると、私たちにはある共通点があります。それは「自分活用」というパラメーターが高いタイプだということ。自分で自分の行動を促していく力がめっぽう強く、同時並行でいろいろな物事を進めるのが三度の飯より好物なのです


 EQ検査(EQPI)を多くのマネージャーに実施していると、リーダーシップを発揮している方ほど、この行動力のパラメーターが高い傾向があります。それ自体は強みなのですが、休むという文脈においては、まさに諸刃の剣になります


 このタイプの人は、ストレスを感じると「休む」のではなく「別の作業を始めてストレス解消する」という、なかなか根深い癖があります。プロンプトを打つ手が止められないのも、この延長線上にある現象です。思考の壁打ち相手であるAIが、頭のオーバーヒートを助長して、擦り切れるまで考え続けてしまう。


 理想を言えば、1日10分でもいいから振り返りの時間を作って、ぼーっと脳のデフラグをすることが大事です。ただ、多動なタイプほど「何も考えずにぼーっとする」のが苦手だから多動なのであって、頭でわかっていても体が勝手に動いてしまう。この性質を理解しないまま「休みなさい」と言われても、リーダー自身が自分を責めるだけで終わってしまいます。まずはこのメカニズムを認めることが、心理的安全性を自分自身に向ける第一歩になります。



心理的安全性を保つ「代替行動」というリーダーの休み方


 では、どうするか。私が最近実践しているのは「代替行動」を自分にインストールするやり方です。


 最近、神奈川県の二宮町に引っ越しまして、家から5分ほどの場所に「自分を整える場所」を作ってしまいました。ビルの3階の部屋に人工芝を敷き、オーディオ一式を新調し、レコードプレーヤーも置いて。朝起きたらその場所に行って、1曲、何もしないでレコードを聴く。それを自分に課しています。


 多動な人は、ぼーっとすること自体は苦手でも、ルーティンとして組み込んでしまえば「事務所に行ってレコードを回したい」というプログラムに書き換わります。ある種、AIのプロンプトを打つ代わりの「代替行動」をセットして、行動の癖を別のところに付け替えてしまう発想です。一度書き換わると続いてしまうのも、多動タイプの特性ですから、これが意外と相性がいい。


 禁煙のときに「タバコを吸いたくなったらレモンドロップを口に入れる」という古典的なテクニックがありますが、考え方としては同じです。やめさせるのではなく、別の行動にすり替える。コーチングの現場でも、こうした行動置換のアプローチは王道です


 代替行動を設計するときのコツは、五感を使って、できるだけスクリーンと左脳から離れる行動にすることです。


 走る、筋トレする、散歩する、料理する。フィジカルな行動はどれも切り替えに役立ちます。音楽も、五感全体を包み込むような没入感が得られるので相性がいい。逆に、散歩しながらAudibleを聴いたりポッドキャストを聴いたりするのは、走るという身体的な行動に「知識を得たい」という二つ目を乗せてしまっているので、リリース効果は薄くなります。これは耳が痛いリーダーも多いはずです。


 ひょんちょるさんは散歩で頭を整えるタイプだそうですが、「散歩を楽しくするアプリをクロードコードで作ってしまって、逆に神経が乱れる」という、いかにもなオチも飛び出していました。AIで解決しようとした瞬間に、目的が裏返ってしまうあるあるです。


 知り合いの起業家にフルマラソンが大好きな方がいるのですが、「走っているうちにいろんなことがどうでもよくなって、思考整理にいい」とおっしゃっていました。何かに集中するために走るのではなく、何も考えられなくなるために走る。それくらいシンプルな仕掛けでいいのだと思います。



「休めるリーダー」が組織文化とチームを変える


 心理的安全性の議論は、ともすればチームメンバーやプレイヤー側の話に寄りがちです。けれど、リーダー自身に余白がない状態では、対話型マネジメントも1on1も機能しません。余裕がない人間同士は、どうしても心理的安全性のない振る舞いを互いに引き出してしまいやすくなるからです。


 逆に、リーダーが代替行動を持ち、五感で自分を整える時間を確保できていると、部下の話を聞くときの解像度が変わります。ツッコミ役にならざるを得ない場面でも、攻撃的な指摘ではなく、共感型リーダーシップに根ざしたフィードバックを返しやすくなる。これは、メンバーとの向き合いの質を変え、結果として組織文化そのものを少しずつ書き換えていきます。



 今までの自分とは全く違うパターンの行動を一つ設定して、そこにスイッチを移していく。中間管理職、プレイングマネージャー、起業家、すべてのリーダーにとって、この「代替行動」発想は燃え尽きを防ぐ実装可能なチームビルディング戦略になります


 番組「シンクリ!心理的安全性あふれるチームづくり相談所」では、これからもリーダーが現場で抱えるリアルなモヤモヤを、ひょんちょるさんの心理的安全性の知見と、私のEQ・コミュニティの知見を掛け合わせながら解いていきます。

 お便り、ひょんちょるグッズアイデア、いずれも所員一同お待ちしています。




 
 
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