いきなり変えなくていい。「遠慮」を「配慮」に変える1.1倍の練習/NOKIOO・小田木朝子さんと考えるEQ(感情知能) 実践編
- 河原あずさと36.5編集部

- 1 日前
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【この記事のまとめ】
遠慮をやめて本音を伝えたい。でも、どう伝えればいいか分からず、つい飲み込んでしまう。そんな方は少なくないかもしれません。
変えるのは、たった「1.1倍」でいい。いつもより少しだけ心を開いてみることから、コミュニケーションは動き出します。
NOKIOO・小田木朝子さんとの対談の後半から、遠慮を配慮に変えていく具体的な練習法を探ります。
目次
本音を伝えたほうがいいのは、分かっている。それでも、いざその場になると、角が立つ気がして言葉を飲み込んでしまう。あとから一人で、あるいはAIに向かって、言えなかったことをこぼしてしまう。そんな経験を持つ方は、少なくないのではないでしょうか。
この記事は、人材開発・組織開発を手がける株式会社NOKIOO取締役の小田木朝子さんと河原あずさの対談をもとにしています。前半の対談で、「遠慮」と「配慮」の違いを話しました。後半の対談では実際にどうやって遠慮を配慮へ変えていくのか、という実践の話をうかがいました。
この対談は、前半と後半に分かれています。前半(小田木さんのチャンネル)では、「遠慮」と「配慮」が何を指すのか、なぜ遠慮が積み重なると厄介なのか、その入り口を話しています。この記事は後半をもとにしていますので、前半とあわせて聴いていただけると、より立体的に楽しめるかもしれません。
前半(小田木さんのチャンネル「明日の景色を変える仕事サプリ」):
後半(あずさんのチャンネル。この記事のもとにした回「コミュニティ思考AtoZ」):
その前に:「遠慮」と「配慮」は、何が違うのか
前半で話したのは、似ているようで違うこの二つの言葉でした。あらためて整理すると、こうなります。
遠慮:言いたいことも言えず、飲み込んでしまう状態
配慮:自分の本音を、相手が傷つかない形で、適切なタイミングで伝えられる状態
この違いは、聴いてくださった方の反応にもよく表れていたようです。小田木さんは、前半の対談の手応えをこう振り返ります。
このテーマを選んでよかったなって。自分が遠慮の傾向が強いのか、それとも配慮しながら小さな違和感を交わし合えているのか。まずそこにフラグが立つだけで、少し選択や傾向を変えられる。そんな話だなと思ったんです。
自分はどちらに寄っているのか。それに気づくだけでも、動き出せることがあります。
ここから先は、その「じゃあ、どう変えるのか」を一緒に見ていきます。
頭で分かっても、行動が変わらないのはなぜか
配慮のほうがいい、というのは、多くの人が頭では分かっています。それでも行動が変わらないのは、途中にいくつかの壁があるからです。小田木さんは、かつての自分をこう振り返ります。
一つは、どこまで言っていいのか分からないという悩み。もう一つは、違和感やモヤモヤは、あんまり言っちゃダメなことだという思い込み。相手を不快にさせるかもしれない、気を遣わせてしまうかもしれない。だから口には出さないほうがいい、と思っていたんです。
言えない状態が続くと、それはやがて「言えない構造」として固まっていきます。何が怖いかといえば、コミュニケーションで失敗することです。だとすれば、考える順番は変わります。失敗しないように身構えるのではなく、失敗してもいい場所を先に用意しておく。そこから始めればいいのではないでしょうか。
いきなり変えなくていい。「1.1倍」だけ開いてみる
とはいえ、いきなり本音を全部さらけ出すのは、誰にとっても難しいことです。あずさんが現場でよく使うのは、EQの考え方をもとにした、ある声かけです。
EQの検査の中に、心を開くと書いて「心開(しんかい)」というパラメーターがあります。自分の感じていることをどれだけ外にオープンにするか、という力です。トレーニングのときは、いつもの1.1倍だけ心開してみましょう、と伝えるんです。2倍じゃなくて、1.1倍でいい。
全開にしようとすると、人は無理をして長続きしません。けれど1割増しなら、自分のモードを崩さずに、少しだけブレーキを緩めることができます。そして、ここには返報性の法則がはたらきます。自分が1.1倍で開くと、相手も1.1倍で返してくれる。それを毎日くり返せば、複利のように少しずつ増えていきます。変えるのは、今まで言わなかった一言を足すこと、深掘りの質問を一つ加えること。たったそれだけで、コミュニケーションは変わり始めます。
失敗していい場所を、先につくる
1.1倍を試すにも、いきなり本番では緊張します。そこであずさんが挙げるのが、車の運転の比喩です。こういう距離感で車は止まるんだ、というのは、動かしてみるまで分からないですよね。だから教習所で、運転の下手な人同士が運転して体得していく。コミュニケーションもそれと同じで、失敗してもいい場所をつくればいいんです。
気の置けないチームや、気心の知れた相手。まずはそういう場で、いつもと少し違う言い方を試してみる。うまく伝わったか、もう少しトゲを抜けたか、お互いにフィードバックし合う。助手席に誰かを乗せて振り返るように、一人で抱え込まずに練習できる機会を持っておくと、安心して一歩を踏み出しやすくなります。
大切なのは、「みんな違う」と知ること
配慮的なコミュニケーションでつまずくとき、その根っこには共通した勘違いがある、とあずさんは言います。
失敗の一番の要因は、みんなが同じ価値観を持っていると思い込んでいることなんです。自分がこう感じるから、相手もこう感じるはずだ、と。だから想定外の反応が返ってくると、動揺して次の言葉が出なくなってしまう。
育ってきた環境が違えば、好きも嫌いも違う。近いメンバーであっても、感じ方はそれぞれです。まずはその違いを知っていくこと自体が、いいトレーニングになります。相手が感情を見せても、それは自分が責められているサインではありません。ひとつの情報として、そのまま受け止めればいいのです。そう捉え直せると、相手の反応を怖がらずに受け止められるようになっていきます。
「言ってくれてありがとう」から始まる循環
一人が勇気を出しても、それが罰のように扱われれば、次からは口をつぐんでしまいます。小田木さんが、自分たちのチームで大切にしてきたことを教えてくれました。プチ勇気を出して言ってみたことに対して、まずは「言葉にしてくれてありがとう」と返すんです。それによって、言っていいんだ、言ってよかった、という蓄積ができていく。
あずさんも、こう重ねます。言うことが罰ゲームになると、人は当たり前のように言わなくなる。だからこそ、そのループを断ち切ることに意味がある、と。小さな一言に「ありがとう」を返す。その積み重ねが、遠慮ではなく配慮が回っていくチームの土台になります。小田木さん自身も、信頼できる人との対話を数年続けながら、言葉にする習慣を持つチームの中で、少しずつこの力を育ててきたそうです。
今日からできる、小さな一歩
配慮は、高度で難しい技術のように見えて、工夫しだいでいくらでも試せるものです。一気に変える必要はありません。いつもより1.1倍だけ心を開く。今まで言わなかった一言を、そっと足してみる。
うまくいったという小さな成功体験を一つ持ち帰れれば、コミュニケーションはそこから少しずつ変化していきます。
自分がつぶやくときもあれば、誰かのつぶやきに「ありがとう」を返すときもある。その循環が、チーム全体の感情の扱い方を少しずつ育てていくのではないでしょうか。小田木さんとの対談は、次回もまた続く予定です。これからも一緒に考えていければと思っています。
小田木さんの発信・株式会社NOKIOOについて
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対談の出演者
小田木朝子さん(株式会社NOKIOO取締役)
人材開発・組織開発を手がける株式会社NOKIOOの取締役。Voicy「明日の景色を変える仕事サプリ」パーソナリティ。
河原あずさ(Potage株式会社代表/コミュニティ・アクセラレーター/思考調律師)
EQ(感情知能)と組織調律を軸に、チームづくりを支援。メンバーが本音を交わし、生き生きと成果を上げ続けられる組織づくりに取り組んでいる。



