「自分で考えて動いて」では、チームは動かない。全員マネジメントと手放しマネジメントが重なるところ/NOKIOO・小田木朝子さんと考える、チームで成果を上げる営みの出発点

【この記事の3行まとめ】
「みんな自分で考えて動いて」と言ってみたものの、チームが動かない。そんな経験はないでしょうか。
マネジメントは管理職一人の仕事ではなく、チームで成果を上げる営みそのもの。だから全員で担える、と小田木さんは言います。
NOKIOO・小田木朝子さんと河原あずさの対談の前半から、全員マネジメントと手放しマネジメントが重なるところを探ります。
【目次】
メンバーに「もっと自分で考えて動いてほしい」と伝えた。言ったときは手応えがあったのに、しばらく経つと、動いているのは結局自分だけ。会議では指示を待つ顔が並び、気づけば今日も、チームの誰よりも自分が多くの仕事を抱えている。そんな状態に心当たりがあるかもしれません。
この記事は、人材開発・組織開発を手がけるNOKIOO取締役の小田木朝子さんと河原あずさの対談をもとにして作成しています。月1回ペースで続いてきたコラボの4回目、今回のテーマは「マネジメント」です。小田木さんが掲げる「全員マネジメント」と、Potageが提案している「手放しマネジメント」を持ち寄りました。対談は前半と後半に分かれていて、この記事は前半(あずさんのチャンネル)をもとにしています(音声でも聴けます)。
前半(あずさんのチャンネル。この記事のもとにした放送回)
全員でマネジメントするのか、マネジメントを手放すのか
今回のテーマを持ち込んだのはあずさんです。NOKIOOの「全員マネジメント」と、Potageの「手放しマネジメント」。言葉だけを並べると、全員で担うのか、手放すのか、反対のことを言っているようにも見えます。
小田木さんは、話し始める前にこう言いました。
話す前からこの予感しかしないんですけど、掘っていったり解いていくと、すごく重なりの大きいことを、それぞれの表現やコンセプトで言ってるんじゃないかなって。
対談は、この予感を確かめる形で進みました。まずは「全員マネジメント」とは何かから始まります。
マネジメントは、管理職の仕事だと思っていた
「全員マネジメント」はNOKIOOの造語です。小田木さんは、言葉の説明から入るのではなく、「マネジメント」という言葉の受け取られ方を先に挙げました。
マネジメントって、結構ふんわりしたビッグワードじゃないですか。私もその考え方に取られてたんですけど、マネジメントは管理職のお仕事、マネジメントは誰がやるの、管理職です、みたいな。こういう構図って、暗黙の前提として広がってるなって思うんです。
けれど本来、マネジメントは管理職の仕事そのものではなく、チームで成果を上げる営み全般を指す言葉だと小田木さんは言います。誰がやるかではなく、何をする営みなのか。そう捉え直すと、管理職が一人でやらなければならないという前提はなくなります。管理職がリーダーとして引っ張る形はあるにしても、チームの成果が一番大きくなるのは、全員が参画しているときではないか。これが「全員」と呼ぶ出発点だそうです。
Potageの「手放しマネジメント」も、入り口は同じところにあります。「マネジメントは管理職の仕事」という前提は、管理職の側には「自分がやらねば」という荷物として残ります。その荷物を抱え続けると、管理職がチームの出入り口をふさいでしまう。全員で担うことと、一人で抱え込まないことは、同じ前提をほどく話なのかもしれません。
「自分で考えて動いて」の前に、握っておくこと
では、全員でマネジメントするとは、具体的に何をすることなのでしょうか。小田木さんは、マネジメントは概念ではなく実践そのものだと言います。
たとえばチームの成果を大きくしようとしたとき、まず必要なのは「そもそも、うちの成果とは何か」を全員が同じ解像度で握ることです。ある人は売上だと思い、ある人は別の何かだと思っている。これではチームの成果は大きくなりようがありません。共通のゴールが描けたら、次はどの道で行くのか。その道で進むために、自分はどこに力を注ぐのか。一つずつ握っていくと、全員の力の向きがそろっていきます。
ここであずさんが「結構、自立してみんなが考えて動くところがポイントになりますか」と聞くと、小田木さんはこう返しました。
自立して動くことも大事だし、自立の前提に、みんなが同じ絵を見るみたいなことも大事だし。とにかく「みんな自分で考えて動いて」っていうメッセージって、いいようで難しいじゃないですか。聞こえはいいし、なんとなく真っ直ぐなことを言ったように聞こえるんだけども、自立して動いたことがチームの成果につながっている状態を機能させるには、その前に必要なことがあるんじゃないかなって。
「自分で考えて動いて」という掛け声そのものではなく、その前に何が握れているか。対談でほどけたのは、この順序でした。
声だけの自立:「自分で考えて動いて」と伝えるだけで、何に向かって動くのかは一人ひとりに任されている状態
握ったうえでの自立:チームの成果とは何か、どの道で行くか、自分はどこに力を注ぐかを全員で握ったうえで、それぞれが動いている状態
握るところまでできると、どういう自立が発揮されるといいのか、リーダーとメンバーがそれぞれどんな役割を担うのかが、具体的な話として対話できるようになります。
マネジメントの語源は「馬」。鞭で走らせる時代から、人馬一体へ
対談の後半で、あずさんが「マネジメント」の語源を持ち出しました。気になった単語の由来を調べるのが癖だそうで、マネージはもともと馬の調教を表す言葉だったといいます。手綱を握って、暴れる馬をなだめ、ゴールまで連れて行く。そこから転じて、不確かなものをコントロールするという意味になったそうです。
ここから、あずさんはこれまでのマネジメントの誤解をこう言い表しました。マネージャーが騎手で、部下が馬。手綱を強く握り、時々鞭を打ち、数字を持ってこいと人参をぶら下げる。そういう時代もあったかもしれません。けれど今の時代、馬にあたるのは部下ではなく、状況そのものではないか。不確実な社会環境や、答えの見えない新しい事業。コントロールの効かない難題を、みんなでどう手なずけて、進みたい方向へ向かわせるのか。それが今のマネジメントではないか、という見立てです。
この話を受けて、小田木さんが思い出したのは、テレビのドキュメンタリーで見たある名馬の話でした。恵まれた血統で生まれたわけではなく、生まれつき脚に障害もあった。その馬の可能性を信じて調教した人がいて、名騎手が乗り、その馬の強みが引き出されて、黄金時代につながっていった。
鞭で打って、手綱で引っ張って、人参をぶら下げて走らせるっていう成果の上げ方とは、全く違う世界観ですよね。本当に馬をどう捉えるかとか、どういう走り方を自分たちは望むのかみたいな。
馬が本来持つ力、癖や個性も含めて発揮されたときに、結果がついてくる・・・話はそのままチームの話に戻ります。
いい騎手は、馬の邪魔をしない
あずさんが続けて挙げたのは、競馬の世界を描いた漫画で読んだ一節でした。いい騎手は、馬の邪魔をしない。勝てない騎手は強くコントロールしようとして、本来止めてはいけないところで手綱を引いてしまう。馬が走りたくないときに無理をさせてしまう。
一方で、人馬一体と言われる状態は、馬の気持ちを理解して、その馬が気持ちよく走れる状態を整えていくことで生まれます。騎手が乗っているという感覚すら薄れて、馬の体と一つになる。そういうときに、馬は力を出せるのではないか。あずさんはこれを、相手にとって心地いい環境を整えることと重ねました。
小田木さんは、この話をこう受け取りました。
いろんな走らせ方というか、走り方があるけれども、どうやって力を引き出すのかとか、どうやってスピードを出していくのかで、ともすればその関与の仕方が、力を奪ったりスピードを奪ったりしているかもしれないっていう。
良かれと思った関わり方が、メンバーの力を奪っているかもしれない。手放しマネジメントで言う「関心は持ちながら、干渉しすぎない」は、この距離感のことです。
あずさんはもう一つ、例を足しました。先行して逃げ切る馬だと思っていたのに勝てず、試しに後ろから差す走り方に変えたら勝てる。そういうことも、きっとあるはずです。走り方の特性を、本人も周りも含めてみんなで理解し合う。全員マネジメントで大事にされているのは、そういうことなのだろうと、あずさんは受け取ったそうです。
走り方は、管理職が決めつけるものではない
対談の終わりに、小田木さんは馬の例えをもう一歩進めました。管理職が騎手で、部下が馬、という構図はもう当てはまらない。今は管理職も、ゴールに向かって騎乗しながら、馬としても一緒に走っている。
俺らどう走る?、みたいなところを、暗黙でもなく、管理職が決めつけるでもなく、対話できるとか、選んでいけるとか、試行錯誤しながらより良い走り方を見つけていけるみたいなことが、これからのマネジメントの出発点になるかもなと。
速さだけが成果ではないかもしれない。走る意味やレースに出る意味、どのレースを選ぶのかも、その対話に含まれてくる。小田木さんの「なぜ我々は走るのか」という一言を、あずさんは「哲学ですね」と受けました。
全員マネジメントは、全員が手綱を持つ話。手放しマネジメントは、管理職が一人で手綱を握りしめない話。言葉は違っても、どちらも「共通のゴールを全員で握る」ところから始まります。対談の前半で見えてきたのは、小田木さんの予感どおり、重なりの大きさでした。この続きとして、後半の対談(小田木さんのチャンネル)では、手放しマネジメントとは何か、管理職が抱え込まないために何をするのかを語っています。
ぜひ、こちらから聴いてみてくださいね!
小田木さんの発信・株式会社NOKIOOについて
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後半の放送は以下からお聴きいただけます。
Potageからのご案内
PotageはEQ(感情知能)診断とワークショップを通じて、「感情を扱えるチーム」づくりを支援しています。管理職の抱え込みをほどく「手放しマネジメント」の考え方と始め方は、こちらの記事でご紹介しています。
対談の出演者
小田木朝子さん(株式会社NOKIOO取締役)
「全員マネジメント」を掲げ、人材開発・組織開発を手がける株式会社NOKIOOの取締役。Voicy「明日の景色を変える仕事サプリ」パーソナリティ。
河原あずさ(Potage株式会社代表/コミュニティ・アクセラレーター/思考調律師)
EQ(感情知能)と組織調律を軸に、メンバーが本音を交わせるチームづくり・組織づくりを支援。Voicy「コミュニティ思考AtoZ」パーソナリティ。






