「発信力」というテーマの裏にあった、本当の課題
- 河原あずさと36.5編集部

- 4 日前
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——関電不動産開発・営業推進部様での研修より

【目次】
Potage株式会社代表取締役、コミュニティ・アクセラレーターの河原あずさです。
今年度のEQ研修を、関電不動産開発・営業推進部のみなさんと行ってきました。今回の記事では、研修後に受講生でもあるえなりさん・リンナさんと対談した内容をもとにお伝えします。
研修にあたり、関電不動産開発さんにいただいたテーマは「発信力」。「発信力」というキーワードの裏には、「言いたいことがあったのに、つい飲み込んでしまった」「相手の反応を先回りして気を遣い、結局お願いできなかった」。そんな、組織の中で誰もが一度は経験したことのある場面がありました。
ここまでの歩みと、今回の位置づけ
関電不動産開発・営業推進部のみなさんとは、昨年7月のEQPI受検から半年をかけて、「自分を知る → 他者を知る → 信頼を構築する」というプロセスをご一緒してきました。
新年度の今回は、その積み重ねの上に乗せた次のテーマです。研修の副題は「状況を『1mm』動かす関係構築実践法」。「発信」と聞くとSNSやプレゼンの技術を思い浮かべる人もいるかもしれませんが、実際に扱ったのは、日常業務の中でのコミュニケーションです。
「発信力」というテーマについて
そもそも今回の研修は、本研修窓口のえなりさんからの、こんな言葉から始まりました。「社外でいろんな方と接し共に事業を検討する場面、社内で他部署と連携する場面、そういった中で他者をモチベートしたり、自分の考えを伝えていく力を高めていきたい」。最初に聞いた時は、私も「外向きの発信」を想像してしまったのですが、お話を伺ううちに、見えてきた像は少し違うものでした。
発信力を広く捉え直すと、それはEQそのものなのではないか。人は誰でも、何かを発信し、何かを受信しています。その小さな、相手とのやりとりの解像度を上げることが、結果として、組織の中での発信力につながっていく。そんな仮説のもとで、今回の研修を組み立てました。
ここから、受講してくださったえなりさん、リンナさんの声を取り入れながら、研修の様子をお伝えしますね。
「相手の反応を勝手に解釈して、自分で飲み込んでしまう」
研修後にえなりさんが話してくださった気づきは、このようなものでした。
「相手はこう思っているだろうと勝手に解釈・遠慮して、お願いせずに自分でやってしまう傾向があった」。けれどロープレで実際に対話してみると、「気にしていたことは、起こらなかった」。余計な不安や、勝手に設定していた前提に、自分自身が縛られていたことに気づいた、と。
研修の中で、私は「言葉を飲み込む理由」には大きく4つのパターンがあるとお話ししました。「関係を壊したくない」「言っても効果が見えない」「うまく言葉にならない」「伝え方を間違えた」の4つです。そのどれもが、その瞬間は合理的に判断したつもりで、実は感情的な前提に縛られていることが多いのではないでしょうか。
えなりさんのケースは、典型的な「関係を壊したくない」型。気が利く方、責任感が強い方ほど陥りやすい癖でもあります。
ここで「感情を抑える」のではなく、「飲み込む前に、自分の中で何が起きているかを観察する」時にEQが活きます。
「関係性を壊したくないから、言わなかった」
もう一人、リンナさんも、気づきを話してくれました。
「他人を気にして自分の意見をこらえる傾向、というEQ診断の結果が、まさにその通りだった」と。
今回はなんと部長さんとのペアワークでした。普段は遠慮しがちなことも、思い切って素直に伝えてみたら、「言ってみても、別に恥ずかしくなかった」「関係性は壊れなかったどころか、ベストな方向に議論が進んだ」。
そして、こんな言葉も。
「相手に感情移入しすぎていた自分にも気づいた。一歩引いて、自分を見るのも大事」。
共感(相手に入り込む)と俯瞰(一歩離れて見る)を行き来する力。このように、個々人の共感と俯瞰が鍛えられると、組織の中でのコミュニケーションは、たしかに変わっていくのではないでしょうか。
「1mmだけ動かす」という発想
今回の研修の副題に「1mm」という言葉を入れたのには、理由があります。発信力研修と聞くと、「相手を動かす」というイメージに寄りがちかもしれません。けれどEQの文脈では、その方向に行きすぎないようにしたい、という思いがありました。組織の文化、利害関係、ヒエラルキー、これまでの人間関係。そういった構造は、いきなり大きくは変わらないものではないでしょうか。
だからこそ、「1mmだけずらす」という発想が役に立ちます。沈黙が続いた会議で一つだけ質問を投げてみる。資料を渡すだけでなく一言だけ添えてみる。そうした、一見ささやかな振る舞いが、状況を動かす最小単位になります。誰かが一言を発すると、それにつられて別の人ももう一言、声を出しやすくなる。会議の空気が、少しだけ柔らかくなる。日々のやりとりに、ほんのわずかな余裕が生まれる。そんな小さな連鎖が積み重なって、組織全体のコミュニケーションが、いつのまにか変わっていく。そんなイメージです。
えなりさんが研修の最後に「明日からすぐ、業務やプライベートにも展開できるサイズ感だった」と話してくださったのは、まさにこの「1mm」の感覚を掴んでくれたからではないかと思います。
次のテーマへ——EQ研修を一過性で終わらせないために
研修の終わり際、リンナさんがこんな言葉をくれました。「自分の中に潜在的に隠れている課題や壁を、どうやって取っ払うか。そんなテーマの研修があったら、自分にとって気づきを得るきっかけになると思う」。ここに、次のテーマの種があるかもしれません。
EQ診断は、一過性のイベントではなく、チームの状況に合わせて互いの理解を少しずつ深めていくのに使っていけるもの。改めて、私自身もそう感じた一日でした。
研修の様子をもっと知りたい方へ
研修当日のえなりさん・リンナさんとの対談はVoicy「コミュニティ思考AtoZ(河原あずさのチャンネル)」と、Voicy「ビル開発女子の働くとオフィスの話(関電不動産開発様のチャンネル)」の両方で配信中です。受講直後の生の声を聴いていただけます。ぜひ聴いてみていただけたら嬉しいです。
また「自分やチームのEQが、いま、どんな状態なのか」が気になった方は、よろしければPotageのEQPI診断もご活用ください。Potage公式LINEから、ご案内をお送りしています。




