
事例:
東急・東急不動産様

"違い"を結ぶ対話から生まれる都市の可能性──コミュニティデザインを基盤にした#シブラバ プロジェクト
「違い」を結び、異なる知見や価値観が交わることで、今までにない発想や可能性が生まれる、そんな共創の場づくりに伴走するPotage株式会社では、東急株式会社・東急不動産株式会社のみなさまと2023年5月から11月にわたり、渋谷に関わる多様な人々の視点を集める「#シブラバ」プロジェクトを推進しました。"渋谷で暮らすとはどういうことか"という問いを起点に、カルチャー、子育て、クリエイティブ、行政、地域活動など、異なる領域で活動する生活者が対話を重ね、地域の「主役」である生活者の視点から都市価値を再定義するプロセスを通じて、都市としての渋谷が持つ新しい価値を可視化することを目指しました。本記事では、その背景やプロセス、現場で実際に起きた変化に加え、コミュニティ同士をつなぎ"違い"を結ぶことで創造性が高まる設計や、住民参加型のまちづくり・都市ブランド開発への応用可能性についてもご紹介します。

こんな方におすすめ
不動産・デベロッパー企業のマーケティング・企画担当者
コミュニティ形成・住民参加型のまちづくりを目指す担当者
居住促進・定住促進施策を検討している行政担当者

渋谷の都市価値を生活者視点で再発見する──「#シブラバ」プロジェクトの背景
渋谷では、働く人、遊ぶ人、暮らす人が同じ街を共有しながら、それぞれに異なる体験を積み重ねています。街の再開発が進む中で、「渋谷で暮らすとは、いったいどのようなことなのか」という根本的な問いは、実は明確に語られていませんでした。特に、渋谷と長く関わってきた人々と、新しく拠点を置いた人々の間には、都市への見え方に静かなズレが生まれ始めていました。
「#シブラバ」プロジェクトの担当者さんは、プロジェクト開始前の状態について次のように語っています。
「渋谷は多様な人が集まる街であることは誰もが知っています。でも、その"多様さ"がどんな良い効果を生んでいるのか、なぜ渋谷で暮らすことに意味があるのかが、言葉にされていなかったんです。」
そこでPotageは、生活者同士が語り合うことで都市像を更新できる場として「#シブラバ」を設計しました。実際に渋谷で「働く・遊ぶ・暮らす」を実践している渋谷LOVERSの生の声を集め、彼らの体験やストーリーを通じて、「渋谷で暮らす」魅力が具体的にイメージできるようにすることを目指しました。働く・遊ぶ・暮らすを横断する視点から、渋谷型都市ライフの本質を明らかにすることが目的でした。
多様な生活者の声が交わる瞬間──"違い"を持ち寄ることで立体化する都市の魅力
イベントには、渋谷で生まれ育った人、子育て真っ最中の人、ク リエイター、ビジネスパーソン、地域活動者など、それぞれ異なる立場や視点で渋谷と関わってきた多様な生活者が参加しました。こうした"違い"を持ち寄ることで、渋谷という都市の見え方が一気に立体化していきました。
参加者が共通して語ったのは、「渋谷は常に変化し、その変化を前向きに受け止める人が多い」という点です。新しいカルチャーや挑戦が自然と生まれ、街のエネルギーが個人の活動を後押ししていく。こうした都市のダイナミズムが、渋谷で暮らすことの魅力を形づくっています。
一方で、渋谷は刺激一辺倒の街ではありません。スクランブル交差点から徒歩圏内には落ち着いた住宅街があり、子育てしやすさや生活インフラの充実を評価する声も多く聞かれました。都市としての「刺激」と「安心」が同居する点が、渋谷型都市ライフの大きな特徴として浮かび上がってきたのです。
異なる視点が補い合い、新しい渋谷像が生まれる──"違いを結ぶ"対話がもたらした発見
プロジェクトを進める中で、生活者が渋谷に対して抱くイメージの違いは、むしろ都市としての奥行きを生み出していることが見えてきました。カルチャーへの親和性が高い人 にとっては「ごちゃ混ぜから新しいものが生まれる街」と映り、子育て世代にとっては「自由にのびのびと暮らせる場所」と語られます。ビジネスパーソンは「挑戦しやすく、つながりが生まれやすい街」と表現しました。
対話をファシリテートしたPotage河原あずさは、プロジェクト中の変化をこう振り返ります。
「立場の違う人が同じ街について語ると、それぞれの見ている渋谷が違うからこそ、互いの視点が補い合い、新しい渋谷像が形になっていく瞬間がありました」

渋谷で暮らすことの豊かさは、多様な視点を持つ人々が共存し、互いを受け入れながら都市像を更新していく、そのプロセスそのものにあったのです。"違い"が結ばれることで、単一の視点では見えなかった都市の温度感や可能性が、参加者全員に共有されていきました。
渋谷型ライフスタイルを言語化する──「働く・遊ぶ・暮らす」の重なりから見えた都市構造
「#シブラバ」では、「働く・遊ぶ・暮らす」の重なり方に着目し、生活者の行動や価値観を整理しました。渋谷ローカル、職住近接、職住分離という三つの類型に分けて分析することで、渋谷の生活者が"都市をどのように使いこなしているか"が鮮明になっていきます。
いずれの類型にも共通していたのは、生活の中に仕事と遊びが自然に入り込み、目的に応じて街を柔軟に編集できる点でした。打ち合わせの後に保育園の送り迎えに行き、帰りにギャラリーに立ち寄る。休日に地域の祭りに参加し、そこで出会った人と新しい企画が生まれる。こうした都市生活の"シームレスさ"が、渋谷型ライフスタイルの本質だと言えます。この手触り感のある暮らし方は、従来の「住宅地」「オフィス街」「繁華街」といった区分けでは捉えきれない、渋谷ならでは の都市構造を物語っています。
生活者とともに描く都市の未来へ──「#シブラバ」が示した渋谷の可能性

今回の取り組みを通じて見えてきたのは、渋谷の価値が都市機能だけでなく、人と人の関係性から生まれているという事実でした。生活者の語りは、渋谷がどれほど多様性に富み、挑戦する人を受け入れ、変化を肯定する街であるかを改めて気づかせてくれます。
都市の価値は、街のハードだけでは決まりません。そこに関わる人々が織り成す関係性の総和によって形づくられていくものです。「#シブラバ」で生まれた対話は、都市を"生活者とともに描いていく"プロセスの第一歩でした。異なる背景を持つ人々が語り合うことで、都市の新しい姿が立ち上がっていく──その瞬間に立ち会えたことは、ま ちづくりにおける大きな可能性を示しています。
Potageでは今後も、子育て世代やクリエイター、地域活動者といった、それぞれ異なる文脈を持つコミュニティ同士をつなぎ、コミュニティ同士をつなぎ、"違い"を結ぶことで新しい都市ライフの可能性を広げる取り組みを続けていきます。渋谷という街が、これからも多様な人々の出会いと対話によって進化し続けることを、私たちは温かく見守り、伴走していきたいと考えています。

